Steamで2026年の2月に発売された『ギルド探求団へようこそ!』ってゲームがあってね、これ、かなりさ、いいゲームだったんだけど、そういうの早く教えてよね。
https://store.steampowered.com/app/4327530/_/
インディゲームをよく遊ぶ人なら『Returne of the obra dinn』ってゲームを知ってると思うけど、それのフォロワー作品。
てか『Returne of the obra dinn』ってゲームについて軽く説明しておこうと思う。2018年にLucas Pope[1]って人が作ったちょっと変わったミステリーゲームで、超おもろいんで、みんなやるべき。

https://store.steampowered.com/app/653530/Return_of_the_Obra_Dinn/
1803年を舞台に、行方不明となっていたオブラディン号っていう船でなにが起こったのかを「保険調査員」となって調査するゲーム。不思議パワーで死者が持つ記憶をほんのちょっとだけ蘇らせて、その記憶が持つビジョンをもとに、乗員51人がどうやって死んだのかを報告書にまとめていき、人間っていろんな死に方があるんだなあって気持ちになるいいゲームなので、プレイしましょう。
んで、これがまあまあエポックなゲームだったので、これにインスパイアされたゲームがいろいろ作られてるんですわね。インディーゲーム市場ってそういう場所なんで。
『ギルド探求団へようこそ!』はざっくり言えば、ミステリーな味付けされた論理パズルって感じのゲーム。
嘘つき村のクイズとかあるじゃん。ああいうのを拡張したようなイメージ。複数の資料に目を通して、この記述とこの記述を照らし合わせると、こんな感じのことが言えるんじゃね?って推測していって、答えを埋めていく感じ。このゲームには別に嘘つきとかが出てくるわけではないんだけれどさ。
とりあえずこういう画面のゲームですよ。

いかにも個人制作なゲームの画面って感じですが、そういうゲームに慣れてるのであれば、特にストレスなく遊ぶことができるよ。慣れてなかったら、まあまあストレスかもね。でも、やってみる価値はあると思うよ。
ストーリーとしてはこんな感じ↓
ナーロッパ(なろう系異世界転生先にありがちな中世ヨーロッパっぽい世界の俗称)の片田舎でついに導入されたギルド(冒険者パーティとかを登録したり管理したりするシステム的ななにか)制度。ギルド発足から1000日を記念して祭りを企画するギルド運営だが、下っ端がギルドに登録されている冒険者とパーティの情報をまとめた資料を全部紛失してしまい、がち焦り。あらゆる資料を集め保管することが生きがいの主人公(=プレイヤー)へ下っ端は助けを求め、プレイヤーは膨大な資料からギルド情報を復元することになる。報酬として足が治るらしい。

この資料のあり方が結構ユニークで、ギルド運営が発行する「ニュース記事」と「冒険者へのインタビュー記事」に大きく分かれているところが特徴。インタビュー記事なんかは、「○○さん、すごいですねえ、もうBランクですよ。活躍してますねえ」「いえいえ、私たちなんかはまだまだ。一人で活躍してるあの人の方がよっぽどですよ」「またまた〜」って感じでゆるくて笑える。
そういった資料を丁寧に読んでいき、このパーティには何人所属しているか、誰がどんな役職として所属しているか、パーティのランクは現在どこに位置するか、そして、そのパーティでは誰が亡くなっているのか、それらを調査してくわけね。
ギルド発足当初はイケイケだったパーティも、1000日も経てばいろいろあるもので、普通にメンバー全滅していたりする。資料を照らし合わせていくなかで発覚するなんとも言えない事実の数々に、「マジかよ・・・」と独り言をもらしながらなんとも言えねー気持ちになったりできる、素晴らしいゲームなんですね。
ただ、このニュースだったりインタビューだったりの記事たちを、最初からすべて読むことはできない仕様となっていて、とある命名規則に則って付けられている記事名をビタで指定することによって、その記事を初めて閲覧で切るようになる。この記事の名前当てパズルが、この手のゲームにありがちな「ドキュメント読むだけのかったるい時間」をいい具合にほぐしてくれていて、地味に考えられたゲームデザインと言える。(ちなみに記事は画像の左にいるロリっ子にビタで指定すると持ってきてくれる)
『Returne of the obra dinn』以降、似たような推理ゲームはそこそこ作られてきた。その全てをプレイしているわけではないが、私がプレイした範囲ではいいゲームはあんまりないって印象。『ギルド探求団へようこそ!』はその中ではかなりよく出来たゲームと言える。アートワーク面で劣る部分が大きくあるけれど、ここまでプレイ後に豊かな余韻が大きく残る作品は、フルプライスのリッチなゲームでもそうそうない。資料を読み漁り、なにが起きたのかを能動的に調べ、各登場人物の関係性などを考察するが、そのすべては過去のことであり、さらには自分には何の関係もない話でもあり、ストーリー上仕事だからやっただけだったりする。けれども残る確かな情緒こそが、『Returne of the obra dinn』が描いた中で最も優れた点だと私は考えていたので、そういう私みたいな人間にとって『ギルド探求団へようこそ!』は、マジ、こういうゲーム、待ってたわって感じでしかない。この世界の冒険者のことなんかなーんにも知らないのに、彼ら彼女らの人生の何か知った気になり、プレイ後もそれについて何かを考え込んでしまうような余韻が、このゲームにもあった。
とか書いてみたけど、ちょっと「あれ?」と思う人もいるかもしれない。
能動的に資料を読み漁って、いろいろを考察して感慨にふけるって、それ昨今の「考察ブーム」的なやつのやつってことすか、結局は考察的なアレコレが楽しくて楽しいっていうゲームなわけね、把握把握おkですみたいに思われるのも心外なので、そういうのとも違うんだけどなって話もしておこうかと思ったので、違うよって話をほんの少しだけする。
ざっくり言えば、「正解」みたいなものに到達するプロセスがプレイヤーごとに違っており、それ自体がナラティブとして認識できるような強度を、コンピューターゲームは持ちやすいってこと。「考察ブーム」、三宅香帆的にいえば「報われ消費」のようなものには、そういった個人的なナラティブを認識する余白が、SNSやYouTubeをはじめとした素早いコミュニケーションによって奪われているので、体験として質が違うものなんですよってことね(質の良し悪しの話はしていない)。
もちろん、コンピューターゲームもそれにのまれるところも多分にあるが、ゲームをやる人ならその限りではないと、分かるだろーよ。



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