コンピューターの話やプログラミングのようなテックぽ〜い話をすることが、そのまま「文系テック」の話をすることにはならないのだけれど、このWebサイトの話をするよん。
ふつうの意味でテックぽ〜い話。
でもさ、アナログのペンで狙った線を引くのも、物語のプロットをWorkflowyを使って効率よく管理するのも、ピクセルパーフェクトなドット絵のゲームを作るのも [1] 、「技術」という言葉で言い表せるものによってなされている。このWebサイトのテックな話も、それとおんなじ「技術」の話ですよ、という話でもある。
すごいコンピューティング
このWebサイトはCloudflareというサービスを使って動いている。聞いたことがない人も多いかもしれないけれど、CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)サービスを展開している企業だ。何の説明にもなってないぜ。ざっくり説明する。
むかし、Webで何かを運営するには、自分でサーバーを用意し管理する必要があった。サーバーはコンピューター上で動くプログラムのこと。自分の家で常時動いてるパソコンが必要だった。
あたりまえだけど、そんなのしんどいから、レンタルサーバーというサービスが生まれた。常時コンピューターを動かして保守管理してくれる優しい奴らがいて、ネットワーク経由でそのコンピューターを使える。個人や企業のWebサイトの多くははそういうサービスを使って運営されていた。
人々がインターネットをどんどん使うようになって、Amazonみたいな通販サイトやSNS、動画のストリーミングサービスと大規模なサービスがでてくると、もっと複雑で大掛かりな仕組みが必要になり、それに対応するようにレンタルサーバーの「すごい版」のようなサービスが展開され始める。このへん、時系列だったりいろいろ正しくはないとは思うが、ま、ぼんやりそんな理解で、いいでしょ。
で、そういった「すごい版」はクラウドコンピューティングとか呼ばれる。AWSとかCloudflareとかAkamaiとか、いろいろある。その辺もう少し知りたかったら『ゆるコンピューター学ラジオ』とかを見たり聞いたりするといいと思う。なんか、やってるでしょ、そういうの。
文系テック的な部分
ひとことで「クラウドコンピューティング」と呼ばれるが、とても複雑で多岐にわたるものだ。なのでいちいち説明はしないし、そもそも私にはできない。でもクリエイターだったりに重要なのは以下の3点じゃないかな、と勝手に思っている。言い換えると「文系テクノロジー」的に重要なもの。
1 顧客が運用したいサービスは、必要なときだけ動かせればいい(従量制)
2 世界中どこにいても近いサーバーから素早くコンテンツにアクセスできる(CDN)
3 急にアクセスが集中してもサーバーが落ちたりしない(CDN)
1について。よくわからんが、コンピューターをたくさん組み合わせることによって、仮想的にコンピューターとして振る舞う構造が作れる。顧客が使うのはその仮想的なコンピューター。Webサービスはユーザーがアクセスしたときにだけ、仮想的なコンピューターの処理が行われ、そのときに従量制のコストが発生する仕組みとなっている。そうなると自前でサーバーを用意するコストよりも、場合によってはそういったサービスを利用するコストのほうが安かったりする。
2について。YouTubeやSNSなど世界中で同じサービスを運営することを考えた時に、アメリカ産のWebサービスを処理するサーバーがアメリカにだけあった場合、光の速度が意外と遅かったりするので、遠い国に住んでる人のスマホからではもっさり動作になる。だから人間は頑張ったりして、世界中にサーバーを作ってユーザーにとって近いサーバーに自動的にアクセスさせ、Webサービスを提供できるようにした。これも仮想的に1つのコンピューターがそう振る舞ってくれている構造のたまものでもあるが、とにかく、世界中にサーバーがありまくっていてやばいのだ。
3について。世界中にサーバーがあるということは、処理を分散できると言うこと。アクセスが集中してサーバーが落ちるとかがほとんどなくなった [2] 。世界中で1つのWebサービスを何億人も同時に使えるのは、なんかこういう仕組みがあるから。
2と3がCDNの大まかな機能とされている。コンテンツをデリバリーするネットワーク、そのまんまだよね。
で、ここまで読んで、どこがクリエイターに関係あるんだと思われたかもしれない。実際これらの話が直接関係するわけでもない。
Cloudflareでタダのり
ビジネス頑張るテックな奴らがビジネスを頑張った結果、世界中にマジハンパねぇ数のコンピューターがインフラとして整備された現状がある。で、インフラが整備されたことで、部分的に、そのインフラを個人が無料で使えるようになってしまった。これがね、重要だと、私は思ってますのよね。
各企業が提供するサービスには無料枠が設定されていたりするが、Cloudflareは個人が利用しようとしたとき、大半のことが無料でできてしまう。無料ってことは、何かしら対価を払うことを意味するのだが(広告とかがいい例)、Cloudflare的には個人利用の範囲でサービスを使うことによって得するという 判断があり 、利用することが対価に相当するらしい。インフラだし、使われないと困るとか、そういう話なのかもしれない。この無料で使える範囲が拡大したのは比較的最近なのだが、それまでCDNなどクラウドコンピューティングサービスを個人で利用しようと思ったら、まあまあなコストがかかりあまり現実的ではなかった(はず)。
でこのWebサイトは、Cloudflareを使っている、という話に戻る。Cloudflareが提供するPagesというサービスを使うと、超ざっくり表現で、自分のWebサイトをほとんど無限(←言い過ぎ)に作れてしまう。ポートフォリオだったり、ブログだったり、あるていど静的なWebサイトだったら [3] かなり自由なことができる。
Webサイトが無料で無限に作れたからって、だからなんだよと多くの人が思うだろう。創作となんの関係があるんだと。わかります。
でもね、実際にこのサービスを使って、まさに創作をしているクリエイターをさ、見つけたんだよね。その使い方が面白かったから、この文章を書くことにしたという経緯がある。
技術を使っていらっしゃる
謎解き・ARG [4] クリエイターを名乗る「ぺいぽぴー」という作家がいる https://x.com/arg_observerx
昔流行った謎解きホームページみたいなものを、今風に作り変え、まあまあな数を発表しているクリエイター。
こういうのとか
https://cleanpartners24.pages.dev
こういうのとか
https://homura-aw9.pages.dev
こういうのとか
https://komorebi-nui.pages.dev
一見よく見るような企業のホームページだったりに、実は恐ろしい謎が隠されてる的な、意味が分かると怖い的な、あれのそれです。遊んでみればわかるが、別に大して遊べるものでもない。第四境界が発表した 『かがみの特殊少年更生施設』 [5] が大きく話題となったりで、ここ数年こういったWebコンテンツがARG(風な)ものとして流行っていたりする。
で、注目してほしいのがこのURL。 pages.dev で終わってるのがおわかりいただけるだろうか(怖い的な言い回し)。
このURLがまさに、CloudflareでWebページを作ると発行されるデフォルトのURL。独自ドメインなどを契約すれば変更することはもちろん可能ではあるが、「 pages.dev 」というドメインがあからさまにダサい感じでもないからか、そのまま使っていて潔い。そして、すごい数のWebサイトをコストをかけずに発表し続けている。
これらのサイトを発表する際のツイートは、いいねが4000を超えていたりとなかなかバズっていて、素晴らしいのだが、例えばこれがロリポップのレンタルサーバーの安いプランを使っていたりすると、アクセスが集中した場合にとても重くなったりする(はず)。という点でも、とても正しい使い方。技術、使ってますね〜ってこと。
同時に、こういう種類のコンテンツは、プラットフォームの中では展開しにくい(できない訳ではない)ものでもある。というか、ARGが流行っていたりするのは(流行っていたりするよ)、インターネットコンテンツがプラットフォームによって画一化してきたことも要因として考えられる気が、個人的にはしている。
このWebサイトは
という感じでここまで説明してきたけれど、このWebサイトはPagesを使っているわけではない。Cloudflareの他の機能が使われているし、Cloudflareが2026年4月に発表したEmdashというCMSを使って作られている。なんでそれを使っているかは、単にお金がかからないからなので、「文系テクノロジー」の話とはあまり関係がない。強いていえば、技術を使うとお金をかけずに済む手段があったりすることがあるよね、みたいな話は関係あるかもしれない。でもそれくらいなので、この話はこれくらいで、今はとどめておく。
Pagesなどが厄介なのは、使うためにGithubを使う必要があったりすることで、シンプルに使えないこと。でもそういうのは、まさに、Qiitaとかが教えてくれる。テック系のコミュニティの恩恵だわね。
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